理事長ご挨拶
世界の中でも日本は超高齢化が進み、通院が難しくなる85歳以上の人口が急速に増加する一方、医療、医学の進歩により、医療的ケア児等、障がいを抱えられる方々も増えており、必要とされる医療の内容も「治す医療」から「治し、支える医療」への転換が求められています。
この様な時代の転換期において、在宅医療の必要性、重要性が飛躍的に高まり、不可欠な医療となりました。これからは地域における医療と共に在宅医療の更なる普及に加え、ご本人の生きがい、尊厳を尊重し、ご家族のケアも含めた利用者本位等、質的な向上も求められています。 他方、あるべき在宅医療を推進する上で、提供者側のあらゆる環境整備および人材の養成、ならびに新しい学術分野としての確立も大きな課題となっています。
当財団ではこの様な日本における在宅医療の課題に対し、先駆的かつモデル的な調査研究への助成、人材養成のための研修・セミナーへの助成、情報収集及び普及啓発事業の実施、その他、在宅医療を推進する上で必要な事業を積極的に取組んでまいります。
我々は財団の活動を通じ、日本の在宅医療の確立を目指すとともに国民の皆様の幸福と有意義な人生に少しでも貢献できればと願っております。
2022年4月
公益財団法人
在宅医療助成 勇美記念財団
理事長 住野耕三
名誉理事長について
在宅医療助成 勇美記念財団は、2000年に株式会社オートバックスセブンの創業者の一人である住野勇(初代理事長)の寄付によって設立されました。
名誉理事長ご挨拶
※2010年4月 公益法人財団移行時
高齢者の方、また何らかの事情の患者さんが在宅で療養し、看取りも許すならば住み慣れた在宅でと思われている方は多いように思います。しかし、現実は家族に迷惑をかけたくない、また核家族の中でどうすることもできないと思っている方が大半のようです。
介護する家族への肉体的、精神的な負担を解消すること、365日24時間対応ができ、また緊急時の対応などの不安を取り除くことが第一のように思います。
徐々にですが医療・看護・介護の多職種との連携が始まりました。在宅療養支援診療所、訪問看護ステーションの24時間対応がしっかり機能し始めること、また一般市民が在宅療養・医療に対する理解と在宅でも看取りまで大丈夫と確信できるようなシステムをつくることが急務と思われます。
最終的に独居老人でも在宅の看取りを地域が支え、可能にすることができるコミュニティーがベストと思っております。
当財団が在宅医療に携わる従事者の連携・一般市民の啓発などに陰ながらお手伝いできれば幸いです。
2010年4月
公益財団法人
在宅医療助成 勇美記念財団
(初代)理事長 住野勇
※住野勇名誉理事長は2017年に理事長を甥の住野耕三(現理事長)へ引き継ぎ、名誉理事長を就任後、生まれ育った大阪豊中の地に一人で生活をされていました。その後、脳梗塞を患い、後遺症を抱えながらも自宅で一人での生活を続けていましたが、2021年8月11日(水)に享年100歳で逝去いたしました。亡くなる1週間前まで仕事を行い、前日までデイサービスに通うなど、在宅医療を推進する財団の創設者ならびに名誉理事長として模範となる最期でした。
設立経緯
株式会社オートバックスセブン創業者のひとり住野勇は、株式の上場で得た資産を社会に還元するために財団法人を設立することを計画しました。
そこで、各方面の方々のアドバイスもいただき在宅医療に従事されている方々へ助成を目的とする財団設立を決定し、関係各位の協力のもと「財団法人 在宅医療助成 勇美記念財団」を2000年7月1日が発足しました。
※公益法人制度改革により、2010年3月に「公益財団法人 在宅医療助成 勇美記念財団」に移行しました。
設立趣意書
我が国は、欧米諸国と比較しても少子高齢化のスピードが速く、それに伴い平成7年度には約170万人であった要介護高齢者も、平成17年度には約250万人に増加すると予測されています。こうした患者の生活の質を確保する上では、可能な限り住み慣れた居宅において療養生活を送ることが望ましく、身の回りの世話等の生活面の支援とともに、病状に応じた適切な医療を提供できるよう、在宅医療を推進することが重要となっています。
平成12年4月より、介護保険制度が開始され、在宅医療が広く普及することが期待されていますが、一方で、これまで我が国においては、病気になれば入院するのが一般的であり、在宅医療が社会に十分根付いているとは言えません。そこで、先駆的、モデル的な在宅医療に関する事業に対する助成等を行うことにより、在宅医療の推進の一翼を担うことができればと考え、この度財団の設立に思い至りました。
本財団は、国民皆保険の下における良質かつ効率的な医療を確立するため、①先駆的、モデル的な在宅医療に関する事業に対する助成、②先駆的、モデル的な在宅医療に関する調査、研究に対する助成及び実施、③先駆的、モデル的な在宅医療に関する人材養成のための研修に対する助成及び実施、④在宅医療に関する情報の収集及び普及啓発等を行うことにより、在宅医療を推進し、もって国民保険の向上に寄与することを目指すものであります。
平成12年5月
設立代表者 住野勇
沿革
2000年 7月 | 財団法人 在宅医療助成 勇美記念財団(初代理事長:住野勇)設立 公募助成事業 開始 |
---|---|
2003年 1月 | 在宅医療推進のための会【自主事業:研究会】発足 |
2004年 10月 | 設立5周年記念シンポジウム 開催 |
2005年 | 第1回在宅医療推進フォーラム 開催 |
2006年 | 無料冊子『在宅医療テキスト』発行 |
2009年 | 無料冊子『訪問看護活用ガイド』発行 |
2010年 3月 | 公益財団法人 在宅医療助成 勇美記念財団へ移行 |
2010年 9月 | 小児在医療推進のための会【自主事業:研究会】発足 |
2015年 | 厚生労働省より「在宅医療関連講師人材養成事業」受託 |
2015年 7月 | 小児在宅医療推進のための会(大阪分科会)【自主事業:研究会】発足 |
2017年 | 公募助成事業「在宅医療研究への助成」に勇美賞を設置 |
2017年 5月 | 理事長に住野耕三就任、住野勇名誉理事長へ |
2020年 7月 | 設立20周年 |
2022年 9月19日 | 設立20周年式典開催 |
事業内容
当財団は定款に基づき、個人の尊厳を尊重した利用者本位の在宅医療を始め医療・福祉・介護に関する各種地域サービス(以下「在宅医療等」という。)の提供を推進するため以下の4つの事業を行います。
①提供者側・利用者側双方の視点からの在宅医療等に関する調査研究への助成(公益目的事業1)
具体期には…公募助成事業「在宅医療推進のための調査研究等への助成」など
②在宅医療等に関する人材養成のための研修及びセミナーなどの事業への助成(公益目的事業2)
具体期には…公募助成事業「在宅医療推進のための普及啓発・人材育成等への助成」など
③テキスト等、在宅医療等に関する情報収集及び普及啓発事業の実施(公益目的事業3)
具体期には…在宅医療推進フォーラムの開催などのイベント・研修会等の開催、インターネット等による在宅医療推進のための情報発信、在宅医療の普及啓発のための冊子・DVD等の作成および配布など
④その他在宅医療等の推進のために必要な事業の実施(公益目的事業4)
具体期には…在宅医療推進のための調査研究や研究会の開催など